【宇都宮】曲げ物の県伝統工芸士村田茂(むらたしげる)さん(91)=若草4丁目=の作品や、村田さんが所有する著名な作家の工芸品を展示した作品展が28日まで、上戸祭2丁目の鹿沼相互信用金庫戸祭支店の展示スペースで開かれている。
曲げ物は木材を熱い湯で浸して曲げ、加工した工芸品。村田さんは、15歳の頃から曲げ木加工の技法を用いて伝統工芸品を手がけてきた。2004年に県伝統工芸士に認定され、各種公募展の受賞歴がある。
展示した村田さんの作品は「木工技術の限界に挑戦しながら制作した」という見事な曲線で構成されたさまざまな形の花器をはじめ、盛鉢や皿など約20点。制作への思いやエピソードも合わせて掲示した。
さらに、陶芸の人間国宝濱田庄司(はまだしょうじ)が益子に移住した直後に制作したとみられる花器や、人間国宝の染織家志村(しむら)ふくみさんの作品など、著名な作家たちの工芸品約10点も展示した。
村田さんは「90過ぎまで制作が出来るとは思わなかった」と感慨深げ。「伝統工芸において後継者の育成は難しい問題。著名な方々の作品も紹介することで、技を継承していく大切さを感じてもらいたい」と話している。