宇都宮市は11日、「子どもを守る都市宣言」(仮称)の実施を目指し、今月下旬に市内の小学5年生から高校3年生まで約4万1千人とその保護者にアンケートを行う考えを明らかにした。子どもの貧困や虐待が問題となる中、子どもを守り育てる重要性を広く共有する狙いで、市が対象学年全ての児童生徒、保護者にアンケートするのは初めて。結果を基にした子どもたちによる会議を7月に開催して議論を進めるなど、12月を目途とする宣言発表に向け意見集約を図る。
宣言は、子ども施策の指針となるよう包括的な内容とする見込み。子どもの意見尊重などを盛り込み国が4月に施行した「子ども基本法」を受け、広く意見を集める。同日開催した有識者による「市子ども・子育て会議」で明らかにした。
アンケートは今月22日から市内の小中高校を通して実施し、小学5年生以上と保護者にウェブで回答してもらう。主に選択制で、子どもには成育環境や学校生活での悩み、将来なりたい大人像や大人にしてほしいことなどについて、大人には家庭や学校、地域で子育てすることへの参画意識などについて尋ねる。子どもの権利や、体罰を含む権利侵害への意識など、子どもと大人に共通する設問も設けて認識の違いも確認する。市ホームページでも実施し、市民にも意見を募る。
結果は7月に開催する子どもたちによる「イノベーションmiyaユース会議」に示し、議論してもらう。その後に宣言の素案をまとめ、子ども・子育て会議に提示するほか、パブリック・コメントを実施する。
11日の子ども・子育て会議には、学識経験者や子ども子育て支援関係団体など24人が参加し、不登校や障害児への配慮など、さまざまな意見が出された。
市子ども政策課の担当者は「条例でなく宣言とすることで、市が目指す姿を分かりやすく市内外に伝え、市民と行政、地域が一体となった取り組みを進めていきたい」としている。