世界的な大企業とスタートアップ(新興企業)を、管理部門のスペシャリストとして渡り歩く。
現在は経営・ITコンサルティング業界に特化した高度人材の派遣会社アクシスコンサルティングに在籍し、3月の東証グロース上場に伴う人事や経理、法務といったバックオフィスの基盤整備に注力する。
会社の規模拡大に応じた課題を予測し、対策を練っていく。「社員が200人くらいになると、そろそろ人事制度に問題が生じる」などと、経験に裏打ちされたパターンを武器にする。
■「一生の職種」に
2000年、マイクロソフト(MS、現日本MS)に入社し、システムエンジニアや技術マーケティング職として本社と日本法人をつなぐ前線で活躍。当時、近い存在だったという創業者ビル・ゲイツ氏とのミーティングは「人生で一番しんどかった」と振り返る。
06年、元MSのエンジニアによるソフトウエア開発のユビキタス(現ユビキタスAI=東京都新宿区)から誘いを受け、営業マーケティングとして転職した。当初、社員は15人で人手が足りておらず、「できる人間がやる」と任された契約書レビュー(法的観点からのチェック)をきっかけに、バックオフィス業務に関わり始めた。
「性に合わない」。初めはそう考えていたが、業務をこなすうちに管理部門の幅広さや奥深さに魅了された。「内向きの仕事」から、今や「総合格闘技」と表現するほどの「一生の職種」になった。
■企業買収の教訓
大手とベンチャーを行き来する中、自身も「珍しい」と語る経験がある。
ユビキタスから13年に移ったヤフー(東京都千代田区)で企業買収に携わり、次に籍を置いたデジタルマーケティングなどのソウルドアウト(東京都文京区)では、逆に博報堂DYホールディングス(東京都港区)による株式公開買い付け(TOB)での買収、子会社化を味わった。
「買収する側だった時、相手にどこまで配慮できていただろうか」と自省する。企業同士も「親しき仲にも礼儀あり」。学んだ教訓は、今のビジネスの姿勢に通じている。
スタートアップの魅力を「社員の顔と名前が一致して、家族的な環境で仕事ができる」と語る。背景にあるのは、仕事への向き合い方だ。「仕事に費やす時間は、人生に占める割合が圧倒的に多く、まさに人生そのもの。やりたいと思うことを、やった方がいい」
経歴 宇都宮市出身。宇都宮高、東京大法学部卒。早稲田大大学院で経営学修士(MBA)を取得した。2000年にマイクロソフトに入社し、ベンチャー企業の最高財務責任者(CFO)を経てヤフーへ。その後、広告代理店ソウルドアウトでCFO、23年1月から現職。都内在住。
企業メモ アクシスコンサルティング 人材紹介・スキルシェア事業を展開する。2002年4月設立。資本金6億600万円。売上高は35億円(22年6月期)。従業員117人。東京都千代田区麹町4の8。