無病息災と五穀豊穣(ほうじょう)を願う伝統の火祭り「御神火祭(ごじんかさい)」が28日夜、那須町湯本の史跡殺生石で行われた。夜空に高さ10メートル以上の炎が立ち上り、地元住民や観光客らは静かに見守った。
噴火を繰り返す那須岳(茶臼岳)を鎮めるため、住民が那須温泉(ゆぜん)神社に詣でて火口から採った火を「御神火」としてあがめたことが始まりとされる。
午後7時過ぎ、九尾の狐(きつね)伝説にちなみキツネの面に白装束を着た約100人の行列が同神社を出発。平山幸宏(ひらやまゆきひろ)那須町長が御神火に火をともすと、参加者らも続いてたいまつを投げ入れた。
炎を背に郷土芸能「白面金毛九尾狐太鼓」も披露された。太鼓の力強い音色が響き渡り、辺りは幻想的な雰囲気に包まれた。
行列に参加した栃木市、会社員鈴木凜果(すずきりんか)さん(20)は「御神火は迫力があった。貴重な体験ができた」と話した。