真山高士さん

 「那須高原自然学校」。その名の通り、県北部・那須町を拠点に自然体験活動や環境教育を実践している団体です。現在、たぁた、わっちゃん、アジャ、なかでっち、ジンという5人のスタッフで運営しています。

 私たちは那須高原の豊かな自然の中で、子どもから大人まで幅広い年代を対象とした自然体験プログラムを企画立案しています。春はゴヨウツツジの遊歩道ガイド、夏は地元の子どもたちと茨城県の海へ行くキャンプ、秋は紅葉のトレッキング、冬はスキーキャンプや雪遊びなど多彩です。 

 その中で大切にしていることがあります。まずは「自然に興味を持つきっかけになること」。身近にある自然環境ですが、自然から知ることや学ぶことがたくさんあるだけでなく、不思議なことや時には自然の脅威も教えてくれます。体験を通して一つでも自分の好きな物や興味のある物を見つけて、自然環境を身近に感じてもらいたいと思っています。

 例えば1年を通して実施しているツリークライミングは、高く登ることや早く登ることが目的ではなく、木と触れあい木と“ともだち”になることでより自然と親しむきっかけになります。ともだち(木などの自然環境)を大切にし、守るために自分ができることを考える機会にもなります。

 次に「生きる力や思いやりの心を育むこと」。宿泊のキャンプでは、普段の生活とは違う不自由な環境の中で考えたり、工夫したりしながら生活します。自分の事は自分でやらなければなりませんし、みんなで協力することもたくさんあります。子どもたちが一生懸命考え、コミュニケーションしながら取り組むことで、自らで行動し助け合う力が育まれるのです。

 自然体験プログラム以外にも、環境省の「那須高原ビジターセンター」の管理運営を行い、自然情報提供や登山情報、クラフト体験など自然の楽しさを発信しています。

 本県には山、川、森、里山等の多様な自然環境があり、そこでは五感を使って感性を養う活動がみんなを待っています。ぜひ、たぁたたちのいる那須高原自然学校へ遊びに来てください。

 次回のコラムは「トチギ環境未来基地」の塚本竜也(つかもとたつや)さん(愛称・かかし)です。お楽しみに。

 (とちぎ子ども自然体験活動ネットワーク共同代表・真山高士(さなやまたかし))

略歴

 那須高原自然学校理事長。2010年に東京から移住し、自然学校に従事している。環境省那須高原ビジターセンター長、那須エリア・ネイチャーツーリズム協議会事務局、武蔵野大非常勤講師、那須町観光協会理事。