大衆音楽は時代の気風を映す。

 ロックバンド「頭脳警察」のPANTA(パンタ)さんが7日、亡くなった。73歳。学生運動が燃え盛る1969年、バンドを結成。日本語ロックの先駆的な存在だった。

 「世界革命戦争宣言」「銃をとれ」。扇動的なタイトルが示すように、過激な歌詞のアルバム第1作は発売中止。第2作も回収になり、カリスマ性を高めることになった。

 雑多な身の回りを冷笑するかのような「コミック雑誌なんか要らない」。言葉をまくし立て、吐き捨てるように歌う「ふざけるんじゃねえよ」。紛争と騒乱の荒れた世相で、寄る辺ない若者の心に刺さったのだろう。

 頭脳警察の音楽は反体制、反骨と形容される。おかしな政治や権力への反抗は、ロックの本質の核だ。パンクは姿勢であり、スタイルではない-。70年代後期、パンクロック・ブームの中心にいたザ・クラッシュのジョー・ストラマーは、そう表現したという。荒々しい言葉の裏側に、PANTAさんの真っ直ぐで純粋な姿勢を感じてならない。