接着材の効果を確認する滝さん(手前)ら

振動発生装置を設置した桜を確認する高梨さん(左)ら

開発中の振動発生装置の別モデル(森林総合研究所提供)

接着材の効果を確認する滝さん(手前)ら 振動発生装置を設置した桜を確認する高梨さん(左)ら 開発中の振動発生装置の別モデル(森林総合研究所提供)

 桜などの木に寄生して枯死させる特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」の被害を防ごうと、森林総合研究所(茨城県つくば市)の二つの研究チームが栃木県足利市と連携し、新たな防除技術の実証実験に取り組んでいる。振動発生装置で木の幹を振動させ産卵などを抑制する方法と、羽化した成虫が出てくる樹木の穴を接着剤でふさぎ、閉じ込める方法だ。研究者が「緊急性が高い全国有数の被害急増地」と警告し、県内の被害の7割を占める足利。農薬に依存しない新技術の実用化に向け、関係者の模索が続いている。

 「このままでは、足利の花見文化が根絶してしまう」。経営する旅館の桜が食害に遭っている中島太郎(なかじまたろう)さん(59)=月谷町=は、危機感を募らせている。成虫が羽化する6~8月は毎日のように駆除をしているが、猛威は収まる気配がないという。