JR宇都宮駅西側のLRT導入ルート

 JR宇都宮駅東側のLRT開業を迎え、宇都宮市は今後、西側延伸の事業推進を本格化させる。

 市が目指す開業時期は2030年代前半。昨年公表した整備区間は、同駅東口停留場から県教育会館(駒生1丁目)付近まで約5キロ。そこから大谷観光エリア付近まで約3キロを検討区間としている。

 主な停留場は、同駅西口と二荒山神社、護国神社、県教育会館などで、平均400メートルごとの計12カ所を想定する。東武宇都宮駅付近と桜通り十文字はトランジットセンターとして位置付け、歩行環境やバス待ち施設などの充実を図る考え。

 東西をつなぐJR駅の横断部は、高架で駅北側を回り上河原交差点で地上に下りるルート。整備費用は、東側整備の平均距離単価から地下埋設物など西側特有の状況も考慮し、約400億円と類推する。

 市中心部は、大型商業施設の郊外流出による空洞化や地価の下落など課題を抱えるだけに、LRTを機に街の再生を期待する声もある。一方、費用対効果や大通りの交通環境の悪化など、西側延伸への反対の声も根強い。

 西側延伸によって市が見込む経済波及効果は約810億円。現状の「東西格差」を埋められるのか。さまざまな思いを抱く市民や関係者の目が、その行方を注視している。