次世代型路面電車(LRT)の26日の開業まで、24日で残り2日となった。国内初の全線新設に多くの注目が集まる中、整備を担った宇都宮市と芳賀町、運行会社宇都宮ライトレールのトップにLRTへの期待や今後の展望などを尋ねた。
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-開業目前の心境は。
「四半世紀以上前から構想されてきた次世代型路面電車(LRT)がいよいよ開業する。試運転中、沿線の皆さまが車両に手を振ってくれたと運転士から聞いている。皆さまの思いが励みになっている」
-途中、2度の開業延期もあった。会社設立からの8年間を振り返ると。
「社員約90人のコンパクトな会社だが、8割が鉄軌道業界からの転職者で経験者。半数以上が県外出身で全国から来てくれた。2度の開業延期で社員にも心配をかけてしまったが、本当に頑張ってくれた。運転士の養成では、路面電車のある全国の都市が受け入れてくれた。そうした恩も忘れずに頑張りたい」
-開業後の稼働状況に注目が集まる。
「通勤・通学での利用がメインになるが、交通系ICカードtotra(トトラ)を使えば路線バスとの乗り継ぎ割引きもある。学生や子育て世代、高齢の方にも日常的に利用していただきたい。最初は乗り降りに時間がかかると思う。そうした時でも、親切に対応してほしいと社員に伝えている。秋ごろには一日乗車券を販売するなどして、需要を開拓したい」
-運行を担う立場として安全対策への備えは。
「交差点の信号は、県警のおかげで電車が直進する時、車が右折できないようになっている。車の右折自体も交差点以外ではできない。路面電車のある全国の都市から評価されている。台風や豪雨などの影響は、ほかの鉄道と同様、基準値を超えれば遅延や運休もある。基準に沿い、安全第一で対応していく」
-JR宇都宮駅の西側延伸へ、社の考えは。
「まずは開業する駅東側の安全運行とお客さまサービスに専念することが最大の使命だ。便利だなと思ってもらえれば、それが西側延伸の機運づくりにつながる。発展著しい生活拠点や産業拠点のある東側と、中心市街地や文教地域のある西側がLRTで結ばれることで、誰もが行き来しやすくなる。公共交通を柱にした新しい都市への転換に貢献できれば」