下野市下古山のグリムの森にある「グリムの館」。市と姉妹都市を結ぶドイツ・ヘッセン州のディーツヘルツタールとの交流事業の象徴的な建物だ。
石橋地区にはJR石橋駅前の時計塔や田園に立つ市保健福祉センターきらら館など、異国情緒あるとんがり屋根の建物が点在する。これらは旧石橋町がまちづくりで行った「世界に誇るグリムの里づくり」事業で造られた施設だ。
ディーツヘルツタールには、グリム兄弟が活躍した旧シュタインブリュッケン村がある。名前が「シュタイン=石」「ブリュッケン=橋」と、同じ石橋ということが縁で、1966年に旧石橋町との交流が始まった。75年には姉妹都市を締結。以降、両者はホームステイなどを行い、現在でも交流が続いている。
第1次訪問団に参加した前市国際交流協会長の伊沢一郎(いざわいちろう)さん(84)は「姉妹都市を結び、町内にグリム関連の施設が造られ、ドイツ人がホームステイをするようになると町は大いに盛り上がった」と振り返る。
約2・4ヘクタールのグリムの森にあるグリムの館は、96年に開館した。鉄筋コンクリート造り一部3階建てで延べ床面積1400平方メートル。外観はバイエルン州のレッチンゲン庁舎をイメージした。外壁のれんがや窓はドイツ製で、300人が収容できる多目的ホールや展示ホール、ギャラリー、喫茶店を備える。
同館は一年を通じイベントも開催され、年間約10万人以上が訪れるという。近藤和行(こんどうかずゆき)館長は「当時のことを知る人が少なくなり、後世にグリムの文化をどう伝えていくかが大きな課題」と話している。