航空機エンジン部品製造のAeroEdge(エアロエッジ、足利市寺岡町、森西淳(もりにしじゅん)社長)は8日までに、本社工場の敷地内に新設する工場の建設に着手した。現在の主力製品は、航空機エンジンの低圧タービンに使われるチタンアルミブレードだが、新工場では同ブレード以外の新たな航空機エンジン向け部品の量産を目指す。建設と設備に総額18億8300万円を投じ、2024年6月の完成を予定する。
同社は、フランスの航空機エンジン製造サフラン社と契約し、チタンアルミブレードを製造している。チタンアルミ合金は加工が難しい上、製品化では高い精度が求められる。高い加工技術と量産体制を持つ競合他社が世界的にも限られる中、エアロエッジはサフラン社から材料を無償で提供されるなど高く評価され、安定した収益の確保を実現してきた。
現在、エアロエッジの売上高全体に占めるチタンアルミブレードの割合は9割を占める。特定の事業への依存度が高いことは経営上のリスクにもなり得るため、収益構造の多様化を目指し、人材育成や研究開発への投資を進めている。その一環で、新たな部品の製造に乗り出した。
新工場は今月1日に着工した。敷地面積は約3千平方メートル。航空機エンジン部品の量産を目指すが、詳細は非公表で、現在は受注に向けた顧客との交渉や量産技術の開発を進めているという。
建屋の屋根には太陽光発電パネルを設置して工場で使う電気を調達するなど、二酸化炭素排出量の削減にもつなげる。
森西社長は8月に開いた23年6月期決算説明会で「チタンアルミ同様に難易度が高い加工技術が求められ、飛行機1機で複数使用する量産部品を予定している」と説明した。