LRTの停留場を降り、ベルモールへ向かう人=24日午後、宇都宮市内

 次世代型路面電車(LRT)の宇都宮芳賀ライトレール線の開業から1カ月たち、沿線の商業施設には来店者が増えるなど特需が広がっている。一方、LRTに接続させる形で宇都宮市内のバス路線も再編されたが、利用者からは「もっとバスの本数があると便利」といった声も上がった。

 停留場近くに立地する宇都宮市陽東6丁目の大型商業施設「ベルモール」。津布久勇治(つぶくゆうじ)支配人は「特に土日に下車する人はかなり多い。来店者も増えていると感じる」とLRT開業の効果を実感する。

 同市東宿郷1丁目の宇都宮東ホテルは目の前をLRTが通過する。北野栄一(きたのえいいち)社長(65)は「学術会議なども開催されているためLRTだけの効果かは分からないが、宿泊客は増えている」。宿泊客からLRTの乗り方などに関する問い合わせもあり、関心の高さがうかがえるという。

 LRT沿線にはバスや地域内交通への乗り継ぎ拠点として、トランジットセンター(TC)が5カ所設置された。

 開業に合わせ、LRTルートと重複するバス路線は、TC発着の新設・増便に振り替えられた。だが清原工業団地のTCでは、1時間に1本到着する乗り換えバスへの利用は少ない。

 同市清原台2丁目、小島(こじま)みち子(こ)さん(74)は、定期的に東武宇都宮駅経由で壬生町の大学病院に通う。これまでは自宅近くのバス停から同駅前まで直接行けたが、再編で廃止になった。別のバス停から直通バスが出ているが、1日2、3本だけ。現在は路線バス、LRTなどを乗り継ぎ、JR宇都宮駅西口から再びバスで東武宇都宮駅へ向かうしかない。乗り継ぎ割で運賃は安くなったが「乗り換えが増え、待ち時間も多くなった。LRTのようにバスも本数を増やしてほしい」と願う。