書店の店頭に並べた藤井八冠の関連書籍=12日午後、宇都宮市宝木町1丁目

 将棋の藤井聡太(ふじいそうた)八冠(21)の全八冠制覇から一夜明けた12日、県内にも盛り上がりが波及した。書店の出入り口付近に関連商品が並び、百貨店には特設コーナーが設けられた。将棋関係者からは“藤井フィーバー”により将棋人口の拡大を願う声も上がった。

 宇都宮市宝木町1丁目、落合書店宝木店の店頭では同日午後、藤井八冠を特集したムック本や藤井八冠が監修した将棋入門書など、数種類の関連書籍を出入り口前の目立つ場所に並べた。関連書籍は将棋ファンにとどまらず一般層にも人気で、常に一定の売れ行きがあるという。

 担当者は「今後は新刊の発行や既刊の重版でよりラインアップが充実するだろう。1カ月くらいは店頭で広く展開していきたい」と意気込んだ。

 同市宮園町、東武宇都宮百貨店宇都宮本店の5階おもちゃコーナーには「藤井聡太八冠誕生将棋特集」のパネルが設置された。藤井八冠が5歳の時に使っていたという駒に動かし方が書いてある将棋盤や折り畳み式の簡易将棋盤が並ぶ。

 売り場を担当する同店紳士・子供・リビング・宝飾部荒川幸世(あらかわゆきよ)部長(52)は「タイトル獲得の際などは注目が集まり、商品にも動きがある。今回も期待したい」と話した。

 期待感は将棋関係者の間でも高まる。日本将棋連盟県支部連合会の西岡潤(にしおかじゅん)会長(66)は「今はインターネットでも気軽に将棋を指せる時代。裾野が広がるのではないか」と予想する。

 西岡さんは那須塩原市内で初心者向けの将棋教室「カルチャーひよこ」を開いている。「一時的な盛り上がりに終わらず、本格的に将棋をやってみたいと思う人が増えればうれしい」と話した。