プチ冒険倶楽部のサマーキャンプの様子

ツリークライミングを体験する子どもたち

プチ冒険倶楽部のサマーキャンプの様子 ツリークライミングを体験する子どもたち

 スペシャルニーズという言葉をご存じでしょうか。一般的には「特別な支援が必要な人=障がいのある方」を意味します。広義ではさまざまな障がいや疾病のみならず、経済的な問題や家庭の問題などにより必要となる特別な配慮や支援も含めてスペシャルニーズと呼ばれることもあります。

 ここ数年、子ども向け自然体験を実施する中で、上記のように支援の必要なお子さんを持つご家庭からの相談を受けることが多くなってきました。「田んぼで伸び伸び遊ばせたい」「自然の中の生き物と触れ合う機会を持ちたい」。そんな声を頂くのです。

 そこで当ネットワークでは、支援の必要な子どもたちが安心して自然体験活動に参加できるよう、神奈川県を中心に活動している「プチ冒険倶楽部」の野口和行(のぐちかずゆき)氏をお招きし、子どもとの関わり方や活動事例を学ぶ研修会を実施しました。

 サマーキャンプでは、障がいのある子どもとトレーニングを積んだ大学生スタッフがキャンプ生活を共にし冒険的な自然体験を実施していきます。これは日常的に支援の必要な子どもにとって、一歩踏み出すチャレンジの機会になります。さらに生活面は専門スタッフによるサポート体制を整えているそうです。

 一方で、通常のサマーキャンプに比べ、多くのサポートスタッフの配置が重要です。そのため日頃のトレーニングも含め、スタッフの確保が大きな課題となっているそうです。今後はスペシャルニーズへの理解を広め、協力してくれる仲間を増やしていくことが重要であると実感しました。

 実際に昨年度、子ども支援団体と那須高原自然学校が連携して実施した自然体験活動でも子どもの変化を感じる印象的な場面がありました。普段はあまり外に出ようとしない子が屋外でのツリークライミングへ参加してくれました。そして、次に開催した時にも自らの意思でまたやりたいと再び参加してくれたのです。一歩踏み出すことが苦手な子の背中を押してあげ、チャレンジできることも自然体験活動の持っている力だと改めて感じました。

 スペシャルニーズと一言でまとめることは難しいと思います。しかし、自然体験を通して自然と人のやさしさを届け、子どもたちのペースに合わせて見守りながら、子どもたち自身が持っているポテンシャルを引き出してあげること。それこそが、スペシャルニーズの子どもたちだけでなく誰ひとり取り残さず、全ての子どもたちを支えることにつながると考えています。

(とちぎ子ども自然体験活動ネットワーク共同代表・遠藤隼(えんどうじゅん))

■とちぎ子ども自然体験活動ネットワーク登録団体イベント情報

秋のキッズネイチャーフェス2023(宇都宮)
 ▽日時 22日午前10時~午後2時半
 ▽会場 みずほの自然の森公園
 ▽参加費 無料
 ※雨天中止。詳細は同ネットワークホームページへ。

日光国立公園 那須ビジ秋まつり2023(那須)
 ▽日時 11月11、12日午前10時~午後3時(12日は2時まで)
 ▽参加費 基本無料(一部有料体験あり)
 ※申し込み不要。イベント詳細は那須高原ビジターセンターホームページへ。