どこか懐かしく、温かみを感じる伝統工芸品。栃木県内にもたくさんあります。今回は県指定の伝統工芸品について紹介します。

 県は1986年から、栃木の風土と生活の中で育まれ、受け継がれてきた工芸品を産業として振興しようと、「県伝統工芸品」として指定しています。現在は益子焼や和太鼓など58品目です。

 県伝統工芸品を作る人の中で、高度な技術や技法を持っている人を「県伝統工芸士」に認定する制度もあります。2005年に始まり、今は173人います。

 手仕事の美しさや素朴さなどに目が行きがちですが、県工業振興課によると、課題もあります。時代の変化で、現代の生活で伝統工芸品を使う機会が減り、なじみが薄くなっています。担当者は「作り手が高齢化し、時代に対応できず苦労しているところもあります。売れなければ後継者は育ちませんし、個人や家族での経営レベルでは大手との取引も難しいのが現状」と言います。後継者がおらず、県指定が解除になった工芸品もあります。

 そこで、新しい伝統工芸のあり方の模索も始まっています。県は21年にデザイナーを派遣する事業を始め、魅力的な新商品の開発を支援しています。

 多くの人が伝統工芸に関心を持ったり、購入したりすることが伝統工芸品を後世に伝える一助になるかもしれません。県伝統工芸品は県総合文化センター近くのアンテナショップ「おいでよ!とちぎ館」などで販売されています。

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