遊園地時代の面影を残す「おやまゆうえんハーヴェストウォーク」のメリーゴーラウンド

小山ゆうえんちの跡地にできた「おやまゆうえんハーヴェストウォーク」

遊園地時代の面影を残す「おやまゆうえんハーヴェストウォーク」のメリーゴーラウンド 小山ゆうえんちの跡地にできた「おやまゆうえんハーヴェストウォーク」

 「おや~ま ゆう~えんち~」。耳に残り、思わず口ずさみたくなるユニークなCMソングが、かつての子どもたちを魅了した。県南の一大レジャー施設「小山ゆうえんち」だ。

 創設者は林卯吉郎(はやしうきちろう)さん。1960年5月に開園(仮開園)した。もともとは、人々が気軽に花を観賞できる憩いの場を作りたいと、林さんが自身の農場にツツジやサツキ、アジサイなどの木々を植えたことが始まりだった。そして開園後、コーヒーカップやゴーカートを設置し、遊園地らしく発展していった。

 65年ごろには北関東初となる国際規格の屋内アイススケート場や県南初のボウリング場も整備。連日順番待ちの行列ができ、満員札止めを行うほど大盛況だったという。77年にかんぴょうむき選手権を開催。79年には長さ30~40メートルのこいのぼりを揚げた。数々の誘客策が実を結び、多い年は来場者が80万人を超えた。

 当時の職員で、現在は小山市内の広告代理店代表取締役を務める青木重雄(あおきしげお)さん(74)は「客を呼ぶにはどんなイベントをすればいいのか必死だった。ただ、お客さんが笑顔で帰っていく、これに勝るものはなかった」と振り返る。

 バブル崩壊などをきっかけに、運営会社「思川観光」が倒産。その後も営業は続いたが、遊具の維持費などがかさみ2005年、45年の歴史に幕を下ろした。

 跡地にはショッピングモール「おやまゆうえんハーヴェストウォーク」ができ、今も多くの家族連れが訪れる。敷地にはメリーゴーラウンドとモミジの木1本が残る。青木さんは「当時の子どもたちに(遊園地の)思い出を語り継いでいってほしい」としみじみ語った。