【鹿沼】祝儀袋などに用いられる飾りひも「水引」を使った芸術作品制作に取り組む村井町、川辺美幸(かわなべみゆき)さん(57)が、先月20~22日にフランス・パリで開かれた国際アートフェア「アート・ショッピング・パリ」に初めて出展した。日本とフランスをイメージした作品2点を展示し、好評を得た。川辺さんは「水引アートの繊細な美しさを海外の方にも理解していただけた」と喜んでいる。
水引は和紙のこよりの周りを糸で巻いたひもで、長さ90センチ、太さ1ミリほど。1本もしくは複数本で「淡路結び」「梅結び」など数十種類の結び方を駆使して作ったパーツを組み合わせ、花などの作品を作り上げる。かんざしやブローチなどの小物を作る手芸としても人気を呼びつつある。
川辺さんは8年前に初めて水引アートを体験。技術を磨きながらアーティストとしての活動も始め、2022年にパリで開かれた日本文化のPRイベント「ジャパンエキスポ」で海外初出展。展示販売した根付など約150点の作品がプロモーション会社の目に留まり、同フェアへの出展が決まった。
出展作品は紅白や金銀といった和の要素を取り入れた「ジャパニーズハーモニー」とフランス人に親しまれる青色をベースにした「フレンチハーモニー」の2点。制作期間は約8カ月で、水引を結んで作った大小の花々約400個を80センチ四方に多層的に敷き詰め、立体感のある作品に仕上げた。
川辺さんは「一つ一つの花に個性があり、まるで人間のよう。どんな個性も素晴らしく、組み合わせによるハーモニー、調和を表現したかった」と話す。
フェア期間中は川辺さんもパリに入り「多くの方に作品の写真を撮っていただいているのを見て感激した」。現在、別の海外都市で開かれるアートフェアへの出展依頼も受けている。「日本の美しさが感じられる水引を芸術文化として残したい。講座や個展などを通して、若い方々にも触れていただける機会を増やしていけたら」と願っている。