今回はとちぎ子ども自然体験活動ネットワークの加盟団体から、「子どもとの関わり方」について、自然史データバンクアニマnetの渡辺秀昭(わたなべひであき)さん、キリフリ自然学校の栗原祥(くりはらしょう)さんにうかがいます。(聞き手 同ネットワーク共同代表・真山高士(さなやまたかし))
-団体の特徴を教えてください。
渡辺 栃木市を中心に自然史の普及と教育を行い、里山環境の整備や農業体験といったプログラムを設けています。また市内でカフェとショップを構えており、保護者は店舗スタッフとしてカフェで働いている間に、子どもは畑や田んぼで米や野菜を作ります。月謝を支払い子どもを預けるのではなく、活動に参加することで収入や野菜が手に入るため生活の足しとなりますし、子どもたちも活動の支えとなることで自己肯定感が芽生えます。
栗原 私がやっている「いついつ」では参加者同士でやりたいことを決めるミーティングを行った上で、参加するかどうかは子ども自身が決めます。水かけならガッツリ水にかかる子、遠くから見ている子、たまに参加する子などさまざまです。大人が内容を決めてしまうと子どもたちの行動を制限してしまうので、伸び伸びと遊んでほしいという思いがあります。

-活動で大切にしていることは?
渡辺 子どもが本当に求めていることと、大人が想像する求めていることは相当違うと思います。私たちは子どもと積極的に関わることで、子どもたちに必要な経験を与えています。本来、さまざまな経験をしながら経験値を上げる過程を大人が奪ってしまいがちです。むちゃはさせないけれど、時には「安全に危険な体験」をさせることも必要です。
栗原 リスクは残すけど子どもたちが目に見えない危険は取り除きます。枯れた木を切り倒そうとした時、私たちはどの方向に倒れるのか把握した上で子どもたちにやらせています。
-子どもの居場所について考えをお聞かせください。
渡辺 子どもが求めている「居場所」とは、「安心できる居場所」です。安心できないのは守ってくれるリーダーが不在だからです。自分のやっていることを認めてくれ、時にはきちんと叱ってくれる。そして尊敬や憧れを抱ける存在がいることで、子どもは学ぼうという意欲が生まれます。

栗原 僕自身もただ存在するだけの自分を受け止めてほしかったという体験がありました。キリフリはそれが許される場、大人が寄り添ってくれる場にしたいと考えています。世の中は成功を求めている風潮がありますが、子どもには失敗してもいいんだと気楽に考えてもらいたいですね。

渡辺秀昭(わたなべひであき)さん 2014年、NPO法人自然史データバンクアニマnetを設立、代表を務める。18年、不登校児童生徒を対象にした受け入れを開始。不登校の子どもと農業に取り組み、作物を使ったメニューを提供するカフェ「FROGS GARDEN」を20年に開業。

栗原祥(くりはらしょう)さん 子どもの野外体験活動の面白さにのめり込み、プレイパークや学童保育で勤めながらボランティアリーダーとしてキリフリ自然学校で活動。日光に移住し、現在、NPO法人だいじょうぶで「あそびのにわ」のスタッフとしても日々子どもたちと関わっている。
■とちぎ子ども自然体験活動ネットワーク登録団体イベント情報
生きもの塾12月-冬眠する虫たちを探してみよう-(市貝)
▽日時 12月16日
▽参加費 4500円
※申し込み、イベント詳細はサシバの里自然学校ホームページへ。
キッズデイキャンプ(那須)
▽日時 12月2日
▽参加費 4000円
※申し込み、イベント詳細は那須高原自然学校ホームページへ。