1980年代を彩った名曲をたどる本紙連載「80年代ノート」は、最終回まで残りわずか。続編「90年代ノート」が来春にも予定されている。
90年代、バブル崩壊で経済が低迷する中で、音楽業界は黄金期だった。ドラマ主題歌やCMに使用されるタイアップ戦略が功を奏し、日常で“耳に残る”ヒット曲を量産した。カラオケの力も大きい。大衆に歌ってもらう親しみやすい楽曲作りが特徴だったように感じる。
日本発の個性も輝きを放った。「渋谷系」「ビジュアル系」と呼ばれる新鋭が注目され、海外でもマニアックな人気を獲得した。いま思えば、Jポップは、後に日本文化を海外に売り込む「クールジャパン」に先駆けた“ブランド”だった。
近年、国内外で再評価されている70、80年代のシティーポップ。サブスクリプション(定額配信サービス)が、Z世代にとって旧時代の音楽の扉となっている。80年代ノートの副題は「花開いたJ-POP」だが、90年代のJポップを例えるなら百花繚乱(りょうらん)だ。90年代ノートも温故知新のガイドとなるだろう。