福田知事(左端)らに受賞を報告した佐藤さん(中央左)と五ノ井さん(同右)=12日午後、県庁

 犯罪被害者を生まない社会の実現を目的に開催される「『大切な命を守る』全国中学・高校生作文コンクール」(警察庁主催)の中学生の部で、宇都宮東高付属中3年佐藤祐菜(さとうゆうな)さん(14)が、最優秀賞にあたる文部科学大臣賞を受賞した。高校生の部では作新学院高2年五ノ井胡暖(ごのいこはる)さん(17)が警察庁長官官房審議官賞に選ばれた。2人は12日、県庁を訪れ、福田富一(ふくだとみかず)知事らに受賞を報告した。

 同展には全国から中学生の部に約7千点、高校生の部に約1万7千点の応募があった。2人同時の受賞は本県で初めて。

 佐藤さんは「守れる命」と題し、被害者支援センターとちぎが開催した「命の大切さを学ぶ教室」を受講した後の心境の変化をつづった。交通遺族の話から、「『いってらっしゃい』には母の愛情がたくさん込められていると気付いた」と強調。「みんなの意識で守れる命を大切にしていきたい」と訴えた。

 自転車通学をしている五ノ井さんは、女子中学生が命を失った酒気帯び運転事故を踏まえ「いつ自分が他人の命を奪ってもおかしくない」との思いを記した。

 受賞を受け、佐藤さんは「一つの命が支えているものが大きいと知ってほしい」。五ノ井さんは「被害者遺族に寄り添える弁護士など法曹関係の仕事がしたい」と語った。福田知事は「犯罪被害者支援の輪を広げていきたいので、2人にもぜひお力添えをいただきたい」と話した。