地域の子どもたちや家族に、楽しく防災を学んでほしい-。さくら市喜連川地区で子育て中の渡辺文香(わたなべふみか)さんと酒井美珠季(さかいみずき)さんは、市民団体「防災士ママくらぶさくら」のメンバーとして活動している。
2019年、台風19号が県内を直撃し、渡辺さんの自宅近くにある荒川も増水。避難指示が出されたが、渡辺さんは降りしきる雨の中、当時4歳と1歳の子ども2人を連れて避難するのは難しいと判断した。
自宅に留まることにしたもののサイレンや避難を呼び掛けるアナウンスが鳴り響き、熟睡できぬまま朝を迎えた。自宅周辺は幸い大事に至らなかったが、渡辺さんは「避難しない選択が正しかったかどうか自信が持てなかった」と打ち明ける。防災の知識で心構えが変わることを痛感し、友人の酒井さんを誘って21年に防災士を取得した。

市内の催しや学校での出前講座への参加を頼まれる機会が増えた。非常時に使えるペットボトルランタンやミニライトを作る「防災工作」では、色水やスパンコールなどを使ってカラフルにするなど子どもたちが楽しめる工夫を凝らす。材料の他にポリ袋、ガスコンロがあれば簡単に作れる防災パン作りは「生地をこねると気分が盛り上げるし、パンが焼き上がる香りや焼きたてを頬張ると不安な気持ちがほぐれる」と酒井さん。
市内を中心に活動の幅を広げているが、2人は「防災士が気軽に集い、つながれる場が県内にもっとあるといい」と話している。