【足利】早川尚秀(はやかわなおひで)市長は22日の定例記者会見で、市民参加型の水道メーター検針システムなどを備えたスマートフォン向けの水道アプリの開発に着手すると発表した。高齢化などに伴う検針員のなり手不足の解消が目的で、市によると市民参加型は全国初の試み。来年3月から試作版アプリの実証実験を行い、2025年度の本格運用を目指す。
水道料金は現在、市が業務委託する会社が雇用した検針員28人が、利用者のもとを2カ月に1度訪れて検針し、算出している。検針員の平均年齢は65歳で、60歳以上が12人と半数近くを占めている。
同システムは、利用者自身が敷地内に設置された水道メーターの写真をスマートフォンで2カ月に1度撮影し、送信するだけで、検針作業が完了する。
利用者がスマートフォンを持っていない場合、近隣住民らが作業を代行することも可能で、代行者にはインセンティブの付与を検討する。システム導入後も検針員は廃止せず、システムの利用が可能な人から移行を促したい考えという。
実証実験は24年3月1日〜25年3月末まで、市民モニター、一部の市職員世帯など約50世帯を対象に実施する。試作版アプリの開発費は99万円。
アプリには検針機能のほか、オンライン決済システムや、過去の水道料金や水道使用量の比較、漏水の恐れなどの確認や報告ができる機能も実装される。ペーパーレス化に向け、検針票と納入通知書は将来的に全廃する方針。
会見に同席した徳永昌宣(とくながまさのぶ)市CIO補佐官は「自ら便利なスマートフォンで情報を発信することで事業が継続でき、市民が一体となって行政サービスを盛り上げる自助・共助のアプリ。モニターにも評価をいただきながら、課題解決などに生かせれば」と述べた。