強い駒大を取り戻せたはずが、3年目はこの世の終わりだと思いましたね。まさかの総合13位でシード落ち。前年優勝校では史上初とも耳にしました。

 本番前に体調不良やけがで主力3人を欠いたのが響きました。私は19位でたすきを受けて11人抜きしましたが、それは1区がスローだったため前と差がなかったからです。内容的には4年間で一番ひどかったくらいでした。

 大学で選手は終えようと思っていましたが、「箱根はゴールじゃない」という大八木弘明(おおやぎひろあき)監督の言葉がきっかけで実業団に入りました。上の世界で挑戦したくなったのです。

 箱根駅伝はあくまで、4年間で完結する目標でいいと思います。私もその過程で自分をマネジメントする力や人間性を身に付けられました。実業団入りは選択肢の一つだっただけ。甲子園に出場した人が全員プロ野球選手を目指すわけじゃないのと同じです。

 精いっぱい努力した4年間が卒業後の原動力になると信じて、学生には夢を追いかけてほしいですね。

 うがち・つよし 1987年、宇都宮市生まれ。作新高-駒大。コニカミノルタに入社し2011年、全国都道府県対抗男子駅伝で本県のアンカーとして初優勝に貢献した。13年モスクワ世界選手権1万メートル日本代表。19年から同社コーチ。

<<
2件
>>
最終ページ