作品を紹介する村田さん

 【宇都宮】曲げ物の県伝統工芸士、村田茂(むらたしげる)さん(91)=若草4丁目=の恒例の作品展「くらしを彩る伝統工芸品展」が31日まで、上戸祭2丁目の鹿沼相互信用金庫戸祭支店ロビーで開かれている。

 会場にはケヤキやクリなど県産材で作った花入れや茶道具を中心に、過去の自信作から最新作まで約50点が並ぶ。板材を熱湯に浸して曲げる製法で、タラノキで作った木製ハンドバッグは革製品のようなU字のカーブを描く。

 村田さんは2004年に県伝統工芸士の認定を受けて今年で20年。市北部の旧篠井村に生まれ、旧制小学校を卒業後、大工の父の下で修業を始めるも1年で家を飛び出し、独立。建具や家具の製作、修理といった仕事を請け負いながら独学で技術を磨いた。

 ある時、硬い木が造り出す柔らかな造形美に引かれて曲げ物の世界へ。夢の中で見たイメージを形にするなど独自のデザインで作品を造り出している。伝統工芸士と呼ばれるが、手がけるのは暮らしの中で生かされる実用品。「使われること、それが伝統を守ることにつながる。時代に合わせて感性を磨くことが大切で90歳を過ぎても、常に頭はフル回転」と話す。

 展示時間は平日午前9時~午後3時。