「腐食した街路樹が倒れないか不安だ」。広島県福山市の60代の男性から心配する声が中国新聞に寄せられた。広島市や鳥取市など全国各地で街路樹が倒れ、車や人が巻き込まれる事故が続いている。管理する福山市に聞くと、業者が街路樹を定期的に点検し、市が倒木の危険があると判断した場合は伐採していた。男性が気にかける木も一部は経過観察をしているという。
訪ねたのは同市引野町南の市道。街路樹を見て回ると、樹木の根元や幹に空洞を確認した。少なくとも7本あり、地上から高さ1メートル近くまで縦長の穴が開く木もある。一部に赤い印があった。
赤い印は「経過観察」
市公園緑地課によると、高さ3メートル以上の街路樹は市内で約6700本。植えてから半世紀近くたつ木もある。市は市内を18のエリアに分け、剪定(せんてい)や維持管理を1年契約で業者に委託。業者は剪定や除草などの作業に合わせて点検しているという。赤い印は業者が「経過観察」と判断した印だった。
市はまた、台風シーズンを見据えた例年7~9月を街路樹の重点パトロール期間に設定。この間、業者は週1回のペースで確認し市に状態を報告する。市は報告に基づき、倒木の危険性が高い街路樹を伐採。年平均で約30本を切り倒している。
樹木医に相談も
伐採するかどうかは、市が目視をしたり、ゆすったりして判断。場合によっては樹木医にも相談する。引野町南を含む旭ケ丘団地周辺では本年度、緊急性が高いと判断した6本の街路樹を伐採した。
広島市中区の平和大通りでは昨年3月に街路樹が倒れて乗用車にぶつかる事故が発生。同8月にも平和大通りで街路樹が倒れる事案が起きた。街路樹ではないが、福山市では同5月に公園の樹木が倒れてブランコを破損した。
相次ぐ街路樹の倒木を巡り対策を強化する自治体もある。山口県光市は倒木の危険性がある街路樹118本を本年度内に伐採する方針を決定。打音検査して樹木の空洞化を点検する機器も導入した。
福山市に対策を求める男性は「近くに学校があり、子どもが通行する。朝晩は車の往来も頻繁にあり、人や車が倒木に巻き込まれる事故が起きてからでは遅い」と訴える。福山市公園緑地課は「可能な限り緑を残すことも必要。危険性がある場合は伐採し、引き続き安全第一で管理を徹底する」としている。
(中国新聞)