下野新聞社「あなた発 とちぎ特命取材班」(あなとち)など読者とつながる報道に取り組む全国10道県の地方紙は1日までに、節分に関する合同アンケートを実施した。「節分でまくもの」を尋ねる質問で、栃木県は9割近くが「大豆」と答え、古式ゆかしい風習が一般的な様子がうかがえた。一方、落花生をまくとした回答者も約15%を占め、他県や新たな風習を取り入れる層が一定数いることが分かった。

 アンケートは1月下旬、インターネット上で実施し、2389人が回答。うち栃木県在住は204人だった。参加した媒体は、下野新聞社のほか、北海道、岩手日報、河北新報(宮城県)、上毛(群馬県)、信濃毎日(長野県)、西日本(福岡県)、熊本日日、宮崎日日、南日本(鹿児島県)の9紙。

 「節分でまくもの」(複数回答)では、落花生が62・2%、大豆が49・3%だった。北海道や東北、長野県、九州南部といった地域で落花生を使う層が多い。一方、栃木県と群馬県では大豆が8割超で多数を占めた。

 栃木県の結果をみると、複数回答の中で「大豆」を選んだ人は89・7%。「大豆のみ」に限れば79・9%で、他の地域より割合が高かった。一方、複数回答で「落花生」を選んだのは15・2%。「落花生のみ」だと7・4%だった。

 記述回答をみると、「落花生」を選んだ回答者には、出身地の風習を引き継ぐケースや、転勤などで他県の風習を取り入れたケースが目立つ。

 宇都宮市、団体職員女性(58)は「転勤で宮城県にいたとき、落花生をまくと知った。それ以来、掃除が簡単で済む落花生」と理由を明かした。福島県出身の那須塩原市、看護師女性(44)は「落花生が当たり前と思っていた。栃木県に引っ越して大豆をまくことにびっくりした」と答えた。

 栃木県立博物館人文課は、アンケート回答者に落花生をまく層が一定程度いたことについて「落花生をまく傾向の強い地域からの移動者や、情報が広がったことによる豆まきへの考え方の変化などで、県内にも広がってきているのではないか」と分析した。

 少数だが、栃木県内にもあめや小豆をまく人もいた。「その他」と答えた人は、小分けパック入りの豆菓子を挙げる人が目立った。

 アンケートでは、豆まきのかけ声についても聞いた。圧倒的な多数は、他地域同様に「鬼は外、福は内」で88・7%。次いで多かった「その他」で7・4%。ただ文言は同じで、復唱する回答が異なるケースが多く、「福は内を2回、鬼は外は1回」などの回答があった。