板倉教諭(右)から花束と色紙を受け取る小室さん

板倉教諭(右)から花束や寄せ書きを受け取る小室さん

板倉教諭(右)から花束と色紙を受け取る小室さん 板倉教諭(右)から花束や寄せ書きを受け取る小室さん

 【那須】那須高の卒業式が1日行われ、93人の同級生と共に同校唯一の野球部員小室寿仁(こむろかずと)さん(18)が旅立ちの日を迎えた。昨夏の県大会で小室さんが入った連合チームで監督を務めた宇都宮中央高の板倉遼太(いたくらりょうた)教諭(29)がサプライズで駆けつけ、教え子の門出を祝った。

 小室さんは高校入学と同時に野球部に入部したが、2年秋から部員1人に。それでも地道に練習を続け、2年秋と3年夏は宇都宮中央との連合チームで県大会に出場。板倉教諭は小室さんと同じ左投げだったこともあり、大会前の合同練習で専門的なアドバイスを送るなど熱心に指導した。チームは初戦で敗れたものの、小室さんは中堅手として先発出場し、2番手投手としてピンチを断ち切るなど奮闘した。

 この日、板倉教諭は小室さんに内緒で那須高を訪問。卒業式の後、校内の応接室に呼び出された小室さんは、板倉教諭を見るなり顔をほころばせた。板倉教諭は「卒業おめでとう」と花束を手渡し、宇都宮中央高野球部の選手ら11人が寄せ書きした色紙を贈った。

 卒業後は就職することが決まっている小室さんは「部活で培ったことを生かし、親に恩返ししたい」と語り、板倉教諭は「部活を全うできたことを自信に、羽ばたいてほしい」とエールを送っていた。