【佐野】県内に勤務する外国語指導助手(ALT)19人が2日、第一酒造(田島町)と若林鋳造所(大祝町)を見学した。日本の伝統産業の一端に触れてもらい、そこから生み出される製品の魅力を母国に伝えてもらおうと、関東信越国税局が主催した。本県が世界に誇る日本酒や天明鋳物の製造現場に足を踏み入れたALTたちは時折、大きくうなずきながら蔵元や鋳物師の話に聞き入っていた。
この日午前10時、ALTたちは、創業350年の歴史を持つ県内最古の蔵元で「開華」のブランド名で知られる第一酒造を訪問し、島田嘉紀(しまだよしのり)社長(58)から「今日は生きている酒蔵の香りを感じてほしい」などと歓迎を受けた。
島田社長らの案内で精米から麹(こうじ)作り、仕込み、絞りなどの各工程を見て回った。酒造り体験として、実際にタンク内のもろみを櫂(かい)棒を使ってかき混ぜる「櫂入れ」を行った。3日目と14日目の二つのタンクで体験し、発酵が進む手応えを櫂棒の抵抗を通じて実感した。
南アフリカ出身のキーラン・カーアンクロスさん(32)は「日本酒は大好きなので、とても楽しかった。地域による個性も感じることができ勉強になった」などと話していた。
午後は、茶の湯に欠かせない茶釜などを製造する若林鋳造所に足を運び、製造工程を見学した。現存する国内の鋳物産地としては最古を誇り、千年の歴史を持つとされる天明鋳物について学んだ。