店内に立つ池田さん(右)と藤田さん

 【宇都宮】一般社団法人ひるねは、中戸祭1丁目の書店「書肆(しょし)ひるね」を地域の多世代の人々が集う場にしようとユニークな活動をしている。法人の代表理事は内科医の池田裕介(いけだゆうすけ)さん(34)と書店主の藤田優樹(ふじたゆうき)さん(26)が共同で務める。併設する駄菓子屋を生かした子ども向け体験イベントや大人向けに生き方を考える催しなど、独自の取り組みを展開する。地元自治会が会合場所にするなど、早くも地域交流の場として親しまれている。

 書肆ひるねは藤田さんが古民家を改装し、2022年2月に開いた。地域に根差した書店を目指し、店内を、死別の悲しみを癒やすグリーフケアや展示、弁当販売など多目的な活動に提供。昨年3月からは、子どもたちの遊び場にもなるよう駄菓子屋を設けた。

 池田さんは市内の診療所に勤務し、地域医療に携わる。診察を通じ、あらゆる世代の人が悩みを抱えていることに直面するが、医療現場では生活の悩みまでは手が回らないと実感。地域の人と関わり、生きづらさを和らげる場をつくりたいと考えていた。書肆ひるねの存在を知り、昨年6月に訪問し、藤田さんと意気投合。9月に法人を設立した。

 2人は駄菓子屋に来る子どもたちと10月におでん、24年2月にギョーザの「お店企画」を実施。子どもたちは準備と調理、店頭での販売を体験した。「親や先生とは違う大人と触れ合えて、安心して失敗できる場所にしたい」と池田さん。

 大人向けには、多様な生き方を共有しようと、トーク企画「こうさてん」を毎月開いている。独自性のある活動や仕事をしている人などをゲストに迎え、ゆったりと話し合う。

 池田さんは「多世代が集う中で気付きを得て、それぞれの生きづらさが和らげばと思う。活動を広げるため、ぜひ支援してほしい」と企業や個人の協賛、活動協力を呼びかけている。

 書肆ひるねは午後1時13分〜6時18分。火、木曜定休。(問)池田さん090・8006・2147。