
-1984年、劇団四季に加入し、役者生活が始まった。どんな40年間だったでしょう。
「今思うとあっという間。順風満帆ではなかったが、濃い時間を過ごせた。10代で四季に入り、どう生き抜くかを考えていた。当時は怖い物知らず。上昇志向が強かった」
「少年から青年になり、20代は役者の難しさを感じるようになった。のし上がることよりも、役者としてどう生きるかがテーマになった。四季ではとっぴな芝居は許されない。作品からずれてしまうので厳格。目立とうとする先輩もいなかった。個人を応援する“推し文化”とは真逆かもしれない」
「退団したのは2009年。在籍が長くなると役が大きくなり、お互い顔見知りになる。『外してはいけない』と取り組む中で、新鮮さは落ちる。成長し一歩進むには年齢的にもラストチャンスだと思った」
「退団後は、守られていたことを実感した。最初はニューヨークに行った。芝居も数多く見た。私のことを知らない中でやっていく。大きい劇場だけでなく、芝居小屋でやるような少人数の作品にも出た。マイナスからみんなと一緒につくっていくのが面白さだと再認識した」

-高校までを本県で過ごした。自身の当時と変わらない部分は。
「興味のあることに一生懸命なところ。作品のことをずっと考え、ふとした瞬間に『作品の中』で生きている。今も立ち稽古を欠かさないし、寝る前も練習する。稽古場に一番早く入るのは、若手時代と変わらない」
「脚本を読む時は、相手のせりふを頭に入れ過ぎないようにしている。入れ過ぎてしまうと、聞くのがおろそかになる。相手役の反応や出方があり、それを敏感に受け、そして返していく演技が大切だ」