一念鬼

 益子町の陶壁作家藤原郁三(ふじわらいくぞう)さんの「邪鬼展」が18~27日、鹿沼市天神町のギャラリータラッサモモで開かれる。宙をにらみながらもどこか愛嬌(あいきょう)がある「一念鬼」など、新作を含めた約80体の邪鬼たちが出品される。

 陶壁の技術を生かし、粘土の塊から彫り出す陶彫、穴窯焼成で制作される邪鬼シリーズ。仏法を犯す邪神として四天王像に踏まれる苦悶(くもん)の表情にひかれ、四半世紀以上取り組んできた。「今春、東京国立博物館で開かれた特別展で、中尊寺金色堂の邪鬼を初めて間近に見ることができた。会場でじっくり360度スケッチした」とうれしそうに明かす。

 藤原さんが作るのは、戒めから解き放たれた邪鬼たちだ。のほほんとした雰囲気の「持国天邪鬼」、珍しく口を開けた「望雲鬼」など、いずれも強いまなざしとちょっととぼけた表情を持つ。雰囲気を左右するのは、窯の中での火の当たり方や灰のかぶり方。「最近は自然と一体になり、その力を取り込めるようになってきた」と自信をのぞかせる。

 1946年大阪府生まれ。東京芸術大美術学部日本画科卒。新制作協会会員、県新作家集団会員。

 (問)同ギャラリー0289・77・7043。