日本科学技術ジャーナリスト会議(室山哲也(むろやまてつや)会長)は8日、東京都内で「科学ジャーナリスト賞2024」の贈呈式を行い、下野新聞社の連載・キャンペーン報道「アカガネのこえ 足尾銅山閉山50年」に優秀賞を贈った。◆特集「アカガネのこえ」はこちら
選考委員の浅島誠(あさしままこと)東京大名誉教授は「ふるさとを再興しようとする地元の思いや国策に振り回された人々のドラマを感じた。現代社会に対して大きな警鐘を鳴らした作品だ」と講評。社会部長として取材班デスクを務めた島野剛(しまのたけし)運動部長は「科学技術の活用は政治家などの専権事項ではなく、社会全体で考えていくこと。連載ではそんな思いを形にできたと思う」と述べた。
「アカガネのこえ」は、かつて日本一の鉱都をなした一方で鉱毒事件をもたらした足尾銅山の閉山50年に合わせ、2023年1月から6月に計36回連載。企業城下町や公害の原点とさまざまな姿を見せてきた足尾を、近現代、そして将来の日本の縮図として見つめ、今に伝えるメッセージを探った。横松敏史(よこまつさとし)、飯田(いいだ)ちはる、伊藤慧(いとうさとし)の3記者が担当した。
24年度の応募は計62点で、NHKスペシャル関東大震災取材班の「映像記録 関東大震災 帝都壊滅の三日間 前後編」が大賞を受賞。優秀賞には本紙連載のほか2作品が選ばれた。