【足利】半世紀以上にわたり交通安全に貢献したとして足利署は4日、前足利交通安全協会会長の大美賀厚(おおみかあつし)さん(90)=粟谷町=に感謝状を贈呈した。「交通事故から子どもの命を守りたい」。その思いで事故抑止に尽力し、6月下旬に会長職を辞した。これまでの58年間の活動を「完全燃焼した」と振り返る一方、「交通事故がゼロにならない限り、私たちの活動は終わらない」と強調した。
大美賀さんは販売業を営む傍ら、1966年に協会会員となった。60年代は交通事故の死者数が年間1万人を超え、「交通戦争」とも呼ばれていた時代。市内でも子どもが巻き込まれる事故が続発し、「子どもを守る」ためにまい進した。
73年からは各学校の子どもたちが参加する交通少年団を結成し、「事故を起こさない、起こさせない」取り組みを推進した。だが、79年の交通安全運動初日に子どもが亡くなる交通事故が発生。「国などに尽くすはずの若い人が亡くなるのは残念。何が何でも防止しなければならない」との思いを強くした。
思い出に残っているのは、昭和50年代に独自の路面標示を導入したことだという。ドライバーに注意を呼びかけるため、道路上に塗料で「徐行」などとペイントをした。「大きなスタートだった」と受け止めている。
95年には副会長となり、2012年から12年間は会長を務めた。貢献が評価され、警察庁などが表彰する最高の交通栄誉章「緑十字金章」や藍綬褒章を受章した。
足利署の大貫彰久(おおぬきあきひさ)署長から感謝状を受け取った大美賀さん。「先輩と同僚や後輩、警察や市の協力があったからこそ、一筋にやってくることができた」と振り返り、「私の本業は交通安全運動」と笑顔を見せた。今後は顧問として、後輩にこれまでの経験を伝えていく。