みなみ座の再開初日に公演する一見劇団

 【那珂川】小口の南平台温泉ホテル内の演劇場「みなみ座」でこのほど、新型コロナウイルス禍での中断を経て、4年3カ月ぶりに公演が再開した。日本文化大衆演劇協会の一員で、関東を中心に全国を巡業する「一見劇団」が江戸人情芝居などを披露し、この日を待ち望んだ観客約200人を魅了した。同ホテルの篠崎暢宏(しのざきのぶひろ)社長(78)は「お客さんの期待で復活できた。大衆演劇を地域に根付かせるための拠点としたい」と話した。

 同ホテルは他の日帰り温泉施設などとの差別化を図るため、2002年4月にみなみ座をオープンした。座席数は約200席あり、コロナ禍で20年4月に公演を中止するまで、延べ約60万人が来場するなど人気を博した。

 「地域に大衆演劇の文化を残すため、いつかは再開したいとずっと考えていた」という篠崎社長。アフターコロナの流れが生まれだした昨年ごろから再開を望む声が日に日に大きくなり、今月の再始動を決めた。

 初日のこの日、一見劇団は大衆演劇で定番の芝居という「恋の大川流し」や舞踊ショーなどを披露。演劇場は観客の手拍子や笑い声に包まれた。さくら市から家族と訪れた女性(93)は「コロナ前はずいぶん来ていた。再開されると聞き来てみたが、また来られるときは来たい」と話した。

 盛況だった公演を振り返り、同劇団の古都乃竜也(ことのたつや)座長(43)は「コロナ禍で演劇場が減ってきている中、復活は珍しい。お客さんも楽しみの一つとして待っていたのでは」と語る。篠崎社長は「コロナ前と同じ状況が広がり、一安心した。これからもファンの声に応えたい」と声を弾ませた。

 同劇団の公演は29日まで。17日は休演。公演内容は毎回異なる。入館料は温泉の入浴料込みで平日大人1800円、土日祝日大人1900円。(問)同ホテル0287・92・3211。