見形和久氏(右)と鈴木恵美氏

 任期満了に伴う塩谷町長選(8月4日投開票)は、30日の告示まで1週間を切った。ともに無所属で、4選を目指す見形和久(みかたかずひさ)氏(71)と2021年の町議選でトップ当選した町議で新人の鈴木恵美(すずきえみ)氏(62)の一騎打ちが確実な情勢だ。20年の前回町長選と同様、保守系同士の戦い。目立った争点は見当たらず、3期12年の実績か、初の女性町長への刷新かを問う争いとなる。前回とは構図に変化が見られ、浮動票の取り込みが鍵となりそうだ。

 「町は課題が山積する。自分の責任としてかじを取っていきたい」。20日に開いた総決起集会で、見形氏は決意を込めた。列席した自民の小菅哲男(こすげてつお)県議、8市町長が激励。後援会幹部は「油断大敵」「これからが勝負」と支持者らを引き締めた。

 見形氏は新庁舎建設などの実績をひっさげ、5度目の町長選に臨む。強調するのは新型コロナウイルス禍もあって道半ばという「持続可能な農村地域づくり」など。町議11人中、4人が支援する。主軸は自身の後援会だ。幹部の一人は「相手は取りに来る。票固めをする」と力を込める。その上で浮動票獲得をにらんだ地区限定のチラシ配布や組織力を生かした戸別訪問に力を入れる。

 一方、同日開かれた鈴木氏の総決起大会。自民の佐藤晴彦(さとうはるひこ)県議、近隣の市町議13人が来賓席に肩を並べた。同町長選初の女性候補者となる見通しの鈴木氏は「人口減少が甚だしい」と町の現状への危機感をにじませつつ「女性活躍時代だからこそ、町に新しい芽を出したい」と訴えた。

 自民系町議らが見形氏の対抗馬擁立に動く中、4月下旬、名乗り出たのが1期目途中の鈴木氏。町議4人が支え、看護師の知見を踏まえた子育て支援策などをアピールし、つじ立ちなどで知名度向上を図る。見形氏と3度、町長選を戦った自民塩谷支部長の手塚功一(てづかこういち)元町長が支援。幹部の一人は「出遅れたが、日々浸透させたい」と知名度不足の挽回を強調した。

 さくら市・塩谷郡選出の自民県議2人は現職と新人に分かれ、見形氏と当時49歳の自民系元町議が戦った前回同様の構図。見形氏に283票差に迫った元町議の動向は注目されたが、現在は政治の世界に一線を引いており、今回静観する。

 立憲民主党は対応を変えた。見形氏を支援してきた立民塩谷支部は今月7日、県連代表の福田昭夫(ふくだあきお)衆院議員(栃木2区)も出席した役員会で自主投票を決定。幹部の一人は21年の衆院選で見形氏が自民の五十嵐清(いがらしきよし)衆院議員(同)の支援に回ったことを理由に挙げる。

 これらの変化が票の行方にどう影響するか。見形氏陣営は「相手が女性ということを含めて、読めない」と警戒する。鈴木氏側は「プラス、マイナス両面あり相殺されると厳しい。プラスに持っていきたい」と期待を込める。