包みを開けた瞬間、チョコレートの香りが鼻腔(びこう)をくすぐる。しっとりとした生地を丁寧につかんで一口食べる。刻まれたクリと甘さ控えめのミルクあん、生地に練り込まれたチョコレートのまろやかな風味が絶妙に絡み合い、しつこい甘さを感じない。代表の平澤真(ひらさわまこと)さん(64)は「いつの間にか食べ終わり、『もう一つ食べたい』と思ってもらえるような味を追い求めています」と語る。
パティスリーヒラサワで、山あげは「烏山城主最中」と並ぶ二大看板商品。1989年に初代を販売開始したが、平澤さんの長男諒太(りょうた)さん(39)が洋菓子修行を経て店に戻り、洋菓子をメイン商品に据えるようになった2014年、現在の2代目を開発した。
那須烏山市の夏の風物詩「山あげ祭」で若衆が立ち上げる「はりか山」を表現した形は変えず、生地にチョコレートを使うことで洋風にした。平澤さんは「若い人にも手に取ってもらいやすい味になった」と手応えを口にする。
今月26日に開幕した祭り。平澤さんは「伝統ある祭りにちなんだ名称。祭りを楽しんだ後は家でおいしい山あげを食べてほしい」と呼びかける。
▼メモ 山あげは1個160円▽那須烏山市金井1丁目10の13▽営業時間 午前8時~午後7時▽定休日 水曜▽(問)0287・82・2627。