太平洋戦争末期に沖縄県警察部長を務めた荒井退造(あらいたいぞう)の母校宇都宮高と、当時沖縄県知事だった島田叡(しまだあきら)の母校兵庫高(兵庫県)が3日、宇都宮高グラウンドで野球部の親善試合を行った。野球を通して平和を考える取り組み。これまで沖縄や兵庫県内で実施してきたが、交流の裾野を広げるため初めて本県内で行った。
荒井は島田と県民疎開に尽力し「沖縄の島守」と呼ばれる。沖縄県高校野球新人中央大会では優勝校に「島田杯」、準優勝校に「荒井杯」が贈られている。
この日は2試合を実施し、兵庫高は30人が参加した。1試合目は終盤に点を取り合い、3対1で宇都宮高が逃げ切った。2試合目も宇都宮高が勝った。試合後は両校の部員が一緒に記念撮影したほか、昼食を共にして親睦を深めた。
兵庫高は2年生が沖縄県への修学旅行に備え、荒井らを描いた映画「島守の塔」を見て平和学習に力を入れているという。野球部主将の2年川端智也(かわばたともや)さん(16)は「戦時中に野球ができなかった方たちの分までプレーしたい」と語った。
宇都宮高野球部主将の2年保科清樹郎(ほしなせいじゅろう)さん(17)は「平和でないと野球はできない。兵庫と沖縄と縁があることにも感謝したい」と話した。