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土砂と共に民家に押し寄せた大量の木々=26日午後2時25分、鹿沼市引田

 県内は25日夜から26日未明にかけて大気の状態が非常に不安定となり、県北部に局地的な豪雨をもたらす線状降水帯が発生した。気象庁はレーダー解析で1時間の雨量が約110ミリに達した塩谷町と鹿沼市付近に記録的短時間大雨情報を発表。宇都宮、鹿沼、那須塩原の3市は一部地域の計1万世帯超、2万5872人を対象に避難指示を出し、8市町で最大37人が避難した。鹿沼、日光、那須塩原、塩谷の4市町の住宅計21棟が床下・床上浸水し、土砂流出や冠水による通行止めが相次いだ。けが人は確認されていない。

 気象庁によると、2015年の関東・東北豪雨の際も線状降水帯が発生し、甚大な被害をもたらした。

 宇都宮地方気象台によると、今回の大雨は日中の気温上昇や南から暖かく湿った空気が流れ込んだことが影響した。塩谷は25日午後11時23分までの1時間に、観測史上最多となる103・5ミリの降水量を記録。26日午前11時20分までの24時間では、例年の8月1カ月分に相当する236・5ミリの雨が降った。

 気象台と県は宇都宮や大田原、矢板など8市町に避難が必要とされる土砂災害警戒情報を発表。避難指示の対象は鹿沼市が9713世帯2万5049人、那須塩原市が340世帯696人、宇都宮市が47世帯127人だった。

 住宅への浸水は鹿沼市で15棟、日光市で4棟、那須塩原市と塩谷町で各1棟で、このうち床上浸水は2棟。鹿沼市引田の民家では裏山の一部が崩れて伐採された樹木が住宅周辺に押し寄せ、家に土砂が流入した。

 矢板市の児童自立支援施設「那須学園」では2カ所が床下浸水し、今市高や那須特別支援学校では火災報知機が故障。県総合教育センターでも床や天井の一部で浸水や雨漏りがあった。

 日光、鹿沼市内を中心に国道3カ所、県道11カ所の他、日光宇都宮道路の全線が一時通行止めになった。鉄道はわたらせ渓谷鉄道が土砂流入の影響で神戸-間藤駅間で運転を見合わせた。鹿沼、日光両市では約1400軒が停電した。

 塩谷町などでは田畑やビニールハウスへの浸水などの被害も確認された。

 一方、強い勢力の台風10号は31日に本県へ最接近する可能性があり、気象庁は注意を呼びかけている。