訪問介護サービスを受ける向田さん(左)。ヘルパーの大根田さんらが体調や生活の困り事まで丁寧に聞き取り、支援している=芳賀町

 町全体が八溝山系に含まれ、のどかな風景が広がる茂木町。人口の約4割を65歳以上の高齢者が占めるこの町に唯一、本拠を置いていた訪問介護事業所が7月末、閉業した。

 「みんなで少しずつ出資するから続けてもらえないか」。利用者からは、そう懇願する声が寄せられていた。ケアマネジャーの60代女性は「切実な思いに応えられず、申し訳ない」と声を詰まらせた。

 事業所ではホームヘルパー5人が、約50人の訪問介護を担っていた。ヘルパー不足に加え、利用者の入退院などで収入が変動。安定した運営が難しく、数年前から赤字が続いていた。