【那珂川】地域の実情に応じた持続可能な部活動の環境整備が求められる中、町は29日までに、町内全2中学校の6種類の部活動で計9人の部活動指導員を初めて採用した。少子化で生徒数の減少が顕著な町にとって、効果的な部活動の運営体制構築は喫緊の課題。町は部活動の段階的な地域移行を目指しており、「指導員に入ってもらうことがその第一歩。学校が外部とつながる機会と捉え、徐々に地域の支援の輪を広げていきたい」としている。
「パスを出した後のランのスピードを上げよう」
23日午前、馬頭中体育館では、ミニバスケットボールの指導経験が豊富な関谷作美(せきやさくみ)さん(66)=三輪=が実践的な練習に励む女子バスケットボール部員の指導に当たっていた。関谷さんは今月初めから指導に入り、お盆休みを挟みこの日で4回目の指導。顧問の工藤聡太郎(くどうそうたろう)教諭(36)は「ミニバス経験者の入部が少なく、少人数に分けての指導も必要。指導者が増えたことは本当にありがたい」と話した。
町内中学校の生徒数は2027年度、23年度比11%減の258人になると推計されるなど、団体競技を中心に1校単独でのチーム編成が難しくなるケースの増加が想定される。部活動の地域移行などを議論する町の「中学校の部活動に関する在り方検討委員会」は、複数種目を行う地域クラブ活動や町内2校の合同部活動といった体制の構築を町に求めている。
町が採用した部活動指導員9人は町内外の20~60代で、スポーツ少年団での指導経験者ら。女子バスケットボール、女子バレーボール、吹奏楽に1人ずつ、サッカー、卓球、ソフトテニスに2人ずつ配置する。
指導開始時期は部によって異なる。25年度までに全公立中学校で休日の部活動の一つ以上を地域移行するとの県の目標に向けては、既存の地域クラブを活用する方向で検討を進めているという。