ニッカウヰスキーは3日までに、栃木工場(さくら市早乙女、北村哲也(きたむらてつや)工場長)で新たなたる貯蔵庫を稼働させた。今回の設備投資により、同工場の貯蔵能力は2021年比で1割増加。ジャパニーズウイスキーの人気が世界的に高まる中、同社は24年に60億円を投じて同工場以外でも設備を増強し、販売量で世界トップ10入りを目指す。

同工場は、グレーンウイスキーの熟成やブレンデッドウイスキーの再貯蔵などを行う同社最大の貯蔵プラント。余市蒸溜所(北海道余市町)や宮城峡蒸溜所(仙台市)などで製造された原酒をタンクで受け入れ、たるに移し替えて長期間熟成させる。本社から出されるレシピに従って何百種類もの熟成原酒をブレンドし、瓶詰めを行う柏工場(千葉県柏市)に出荷している。
同社によると世界のウイスキー市場は年々拡大し、中でも高価格帯の伸びが顕著という。高価格帯ウイスキー販売量で同社は現在、世界40~50位に位置し、将来的なトップ10入りを目指して貯蔵能力を増強した。

栃木工場の貯蔵庫はこれまで中層(高さ15メートル)10棟、高層(高さ30メートル)3棟だったが、新貯蔵庫は4棟目の高層施設になる。たるの移動管理は従来、担当者がリアルタイムで操作していたが、新貯蔵庫では事前に設定すれば無人でも24時間稼働できる。
9月6日に竣工(しゅんこう)式を行い、従業員数は36人で変更はないという。北村工場長は「余市蒸溜所や宮城峡蒸溜所が生みの親なら、栃木工場は育ての親になる。先輩がつくってきた原酒が長い時間をかけて現在評価されており、われわれも責任と誇りを持って後輩から感謝される仕事をしたい」と話している。