栃木県鹿沼市上南摩町の南摩ダムでダム本体がほぼ完成し、8日、水をためる試験湛水が始まった。1969年4月の実施計画調査開始から55年半余り、事業は2027年度の本格運用に向け最終段階に入った。

試験湛水が始まった南摩ダム。中央手前は湖底となる場所で、同左が仮排水路=8日午前9時15分、鹿沼市上南摩町、ドローンから
ダム建設は独立行政法人水資源機構による思川開発事業の中核で、ダムは堤高86・5メートル、堤頂長359メートル、総貯水容量5100万立方メートル。試験湛水は貯水位を平常時、洪水時の満水位や最低水位に上下させて、堤体や貯水池周辺地山などの安全性を確認する。
この日は関係者約70人が見守った。南摩川の流れを迂回(うかい)していた仮排水路を高さ5・1メートル、幅4・2メートルの鋼製ゲートでふさぎ、湛水が始まると、拍手や万歳三唱をして祝った。
同機構思川開発建設所の長谷見智久(はせみともひさ)所長は「大きな節目。試験湛水の開始を心からうれしく思う」と述べた。