中学生を前に講話する美谷島さん

 【那須】520人が犠牲になった1985年8月の日航ジャンボ機墜落事故で次男を亡くし、遺族らの「8・12連絡会」事務局長を務める美谷島邦子(みやじまくにこ)さん(78)が14日、那須中央中で講話し、全校生徒約270人に命の尊さを訴えた。

 町教委が毎年2月に設けている「命の週間」の行事の一環として行われた。

 美谷島さんは「安全の鐘を鳴らし続けて」と題して講話。スクリーンに写真や絵を映しながら、9歳で亡くした健(けん)さんとの思い出や事故当時の状況などを振り返り、「1人で飛行機に乗せなければ良かったと毎日自分を責めた」と述べた。

 その上で「つらい時、悲しい時は周囲に助けてもらうことが大切。一人一人の悲しみは点だが、支え合うことで線になり、つながっていく」と語った。遺族らが事故を教訓に再発防止を訴える活動を続けてきたことなどにも触れ、「安全対策に終わりはなく、皆で築いていくもの」と訴えた。

 3年横山奏那(よこやまそな)さん(15)は「一人一人の大切な命について改めて考える機会になった」と話した。