足利市民の生活に欠かせない水道施設。国登録有形文化財になっている緑町配水場は外国の建物みたい。「戦後80年」を物語る貴重な品も残されていました。

 緑町配水場は足利公園北側の小高い山の頂上に位置しています。渡良瀬川や渡良瀬橋などを見渡せる眺望の良さが特徴です。

洋風の外観が目を引く緑町配水場水道山記念館。写真右側が増築された貴賓室
洋風の外観が目を引く緑町配水場水道山記念館。写真右側が増築された貴賓室

 昭和初期の1930年、今福浄水場(足利市今福町)と一緒に建設され、翌年から現在まで約95年間、稼働を続けています。

 織物産業が盛んだった足利にとってきれいな水の確保は不可欠でした。近代化を支える生活基盤として、全国でも早い時期に設置されました。

 配水場の役目は、浄水場から送られてくる水道水をためて、市内の家庭や公共施設などに配水する量を調節すること。敷地内には送られた水をためておく「配水池」、浄水場と配水池を中継する「接合井」、配水する量を計る「水道計量室」などがあります。それぞれ壁や柱には、平面性や直線性を強調し、かつてドイツなどで流行したゼツェッション風のデザインが施されています。

 特に目を引くのは、かつて事務所だった「水道山記念館」です。