「画題」という言葉には、大きく分けて二つの意味があります。一つは作品に付けられた作品名(タイトル)のこと、もう一つは作品に描かれた主題(テーマ)のことです。通常は描かれた主題の名前をそのまま作品名にします。ただ、作品名だけでは主題の奥深さが伝えきれないこともあります。

 例えば、佐野出身の日本画家小堀鞆音(こぼりともと)が描いた「判官義経(はんがんよしつね)」という作品があります。作品名のおかげで判官という役職に就いていた源義経(みなもとのよしつね)の姿が描かれているということは分かりますが、義経が海に落とした自分の弓を拾おうとしている「平家物語」の「義経の弓流し」の場面であることは作品名だけでは分かりません。

「平家物語」の一場面を描いた小堀鞆音の「判官義経」
「平家物語」の一場面を描いた小堀鞆音の「判官義経」