平成の大合併は、1999(平成11)年4月から全国で進められました。子どもが減って高齢者が増える時代を見据え、お金の問題など市や町を運営するための土台をしっかりさせる目的がありました。

 県内では49市町村から25市町にほぼ半減しました。合併がスムーズに進んだかと言えば、話し合いの中で町や村の住民が「市と合併したら自分たちの地域が大切にされないのではないか」などと不安に思うこともありました。

 県内最後の合併で誕生した今の栃木市は、2014年4月まで4年余りの間に3回も合併を重ねました。合併後の初代市長を務めた鈴木俊美さんは下野新聞の取材に、「本当に大変だった」と振り返っています。

 市町村の数が減ると、一つ一つの市町村の面積が広くなります。06年3月、旧今市市や旧日光市など5市町村が合併してできた今の日光市は、県の4分の1を占める広さです。

 広くなったことで、同じ市内に文化財や自然などの観光資源を多く持てる長所がある一方、市民にとっては市役所が遠くなり手続きしづらくなる短所が課題になりました。そこで同市は地域の郵便局との連携に加え、この春、ネット接続もできるマルチタスク車両を導入。各地に移動して期日前投票所として活用することなどを考えていて、今後の活躍が期待されます。

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