「北の郷物語第4集」を手にする中島さん

 【足利】北郷地区のまちづくりに取り組む市民団体「緑がおいしい北の郷探偵団」の団員で、郷土史家の中島太郎(なかじまたろう)さん(59)はこのほど、同地区にまつわる民話や伝承をまとめた「北の郷物語第4集」を出版した。

 中島さんは同地区や周辺地域に伝わる話を後世に残そうと、執筆活動に取り組んでいる。2002年に第1集、05年に第2集、13年に第3集を発行。54話ずつ掲載している。

 1話220字前後でまとめ、油性ペンとボールペンで描いた版画風の挿絵を添えているのが特徴。情報提供を基に現地に足を運んだり、文献を調査したりして丹念な取材を重ねている。文字での記録がないものは、複数人から証言を取るという徹底ぶりだ。

 10年ほどかけて仕上げた今作には、21年の両崖山火災の際、山を囲む七弁天が結界を張り延焼を防いだとする説のほか、凶夢を吉夢に変えるとされる胴羽目の話など、計54話を収めた。

 中島さんは「物語の世界に分け入って体験してもらいたい」と話している。

 A5判、55ページ。500円。足利商工会議所、太平記館などで販売している。