しょうゆベースのスープにちぢれ麺が特徴のスタンダードな佐野らーめん

 青竹打ちで製麺したちぢれ麺に、湧き水を使った透明感のあるスープ。

 佐野市を代表するグルメとして、一番に挙がるのが「佐野らーめん」だろう。市内の至る所にラーメン店が点在し、ブランドキャラクター「さのまる」も頭に佐野らーめんの丼をかぶっている。今や佐野の象徴と言っても過言ではない。

 佐野らーめん会によると、始まりは大正時代。市内の食堂で青竹打ちのラーメンを提供していた中国人コックが、地元の料理人に技法を伝授したことが基盤になったという。その料理人が後に開いたのが、現存する佐野らーめん店で最古の歴史を持つ「宝来軒」だ。

 昭和初期になると、佐野の主産業は繊維業に。忙しい日々を送る工員やその家族の食事に、手軽にすぐに食べられるラーメンの出前がよく利用された。佐野らーめんは市民の産業と生活を支えてきた愛着のある食べ物として浸透し、1988年には佐野らーめん会が発足。市内のラーメン文化を今に至るまで盛り上げてきた。

 今や佐野らーめんの名は全国にもとどろく。今年初めて開催された「日本ご当地ラーメン総選挙」では、関東ブロックを1位で勝ち抜き、本戦に進出。惜しくも入賞は逃したものの、同会の会長で堀米町のラーメン店「太七(たしち)」の店主西谷政美(にしたにまさみ)さん(68)は「日本中に宣伝できた。挑戦したかいはあった」と振り返る。

 近年は各店それぞれの個性や持ち味があって、さまざまなラーメンが楽しめるという。「たくさんのお店でラーメンを食べてほしい。そのためにもっと佐野らーめんをアピールしていきたい」と西谷さんはさらなる意欲をあらわにした。