栃木県立図書館は25日までに、公式ホームページで「栃木県が舞台の小説〜現代編〜(ブックリスト)」を公表した。小説を読み進める中で、なじみの風景が登場し、わくわくした経験は多くの方にあるはず。リストには県央、県北、県南の地域別に全40作品がリストアップされている。千葉雅也、江國香織、宮部みゆき、奥田英朗-。年末年始に、有名作家の作品に登場するふるさとの姿を楽しんでみてはいかがだろうか。
小紙1面連載コラム「雷鳴抄」(12月25日付)でも紹介されたブックリスト。県立図書館は、2023年度の文芸講演会をきっかけにとりまとめた。
リストでは、同館の文芸講演会で講師を務めた村崎なぎこさんの2作品が特出しで紹介されている。このうち「第3回日本おいしい小説大賞」(小学館主催)を受賞した「百年厨房(ちゅうぼう)」は、大正時代からタイムスリップした女性が懐かしい料理を振る舞うストーリーで、宇都宮市大谷地区が舞台だ。
県央編では、千葉雅也さんの「エレクトリック」も紹介されている。1995年の宇都宮市が舞台で、インターネットが普及し出すなどして迎えた「時代の変わり目」(千葉さん)を描いた。警察小説の旗手堂場瞬一さんの「報い 警視庁追跡捜査係」や、ミステリー界の大御所、宮部みゆきさんの「火車」も宇都宮市の風景が登場する。
県北編でも、ミステリー作品が少なくない。森村誠一さんの「中禅寺湖心中事件」はずばり、日光市が舞台。阿刀田高さんの「Vの悲劇」では那須塩原市が描かれている。黒磯高卒の森詠さんの自伝小説「少年記 オサム14歳」は、映画化もされ、福田富一知事が医師役で登場したことでも話題を呼んだ。
県南編は、アニメーション監督の新海誠さんの「小説秒速5センチメートル」などが入った。同名の人気アニメ映画を新海さん自身がノベライズ。両毛線の岩舟駅などが重要なシーンの舞台となっている。足利事件をモチーフにした長編小説、奥田英朗さんの「リバー」はひりひりするような警察と容疑者、マスコミの攻防が描かれており、その舞台として足利市内の渡良瀬川沿川の風景がたびたび登場する。
このほか、リストでは鹿沼市や那珂川町が舞台の作品もまとめられている。