2011年の東日本大震災から13年となる中、東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質の影響により、県内では12日現在、原木シイタケやタケノコ、シカ肉など食品14品目で国の出荷制限が続いている。施設や露地栽培の野菜類は基準値を下回ることなどで解除され、この1年間では原木シイタケなど県内2軒の農家が制限を解かれた。一方、シカは基準値を超える個体が出ているほか、野生の山菜は検査手法の難しさもあり解除は見通せない状況だ。

 国は原子力災害対策特別措置法に基づき、一般食品で放射性セシウムが1キログラム当たり100ベクレルの出荷制限基準を設けている。

 原木シイタケは露地・施設栽培ともに、県が独自に作った生産工程管理基準に基づいて栽培され、安全が確認されれば生産者ごとに出荷制限が解除される。2023年は市貝町の原木シイタケ(露地)とさくら市のクリタケ(露地)の生産者各1軒が解除になった。

 さくら市小入、シイタケ農家の薄井孝司(うすいたかし)さん(65)は23年11月、シイタケに続き、原木クリタケ(露地栽培)も検査で安全が確認された。シイタケとともに直売所での販売を見据える。 「基準値は原発事故後に厳しくなったので、より安全な物を消費者に届けることができる」と検査体制に理解を示す。県林業木材産業課の担当者は「解除を希望する生産者をサポートし、キノコの振興につなげていきたい」としている。

 肉類はイノシシ肉とシカ肉の2食品が制限されている。野生のシカとイノシシは、23年度も基準値を上回る個体が確認されている。

 魚類では、中禅寺湖のブラウントラウトで県による持ち出し禁止要請が続いている。